新米山岳ガイドをやっていたときのレポートが出てきましたので掲載します。
 当時の私の悪戦苦闘ぶりがうかがえます。(^^;
 尚、固有名詞については、伏せさせていただきました。ご了承ください。
 

山岳ガイドとしての反省及び提言

                           平成OO年OO月OO日
                         OOトレッキング協会
                        ガイド 桧垣源之助

前年のトレッキング協会発足してまもなく、O村との合同登山の話があり、約50人を8月上旬にOO郷よりOO山を登り、OO小屋までの登山を行ったときは、前後差が2時間もあり、先頭がOO小屋についても、最後尾はOOあたりという体たらくで、多人数同時登山の難しさを実感しました。

また、O村の人たちは無線で連絡を取りあっているのが印象的でした。
 落伍者についても、△▲側に降りるのを嫌い、××沢へ引き返した客も5、6人有り体力差も考慮にいれなければと考えていました。

今回ガイド引き受けるにあたり、前記の3点を解決なければと思っていました。

ガイドは一人では出来ないので、会長OO氏の知り合いであり長野県八ヶ岳のプロガイドOO氏をまねき、今回協力してもらうことになりました。

まず、前後差2時間の問題を解決するために、ペース配分について打ち合わせをし、通常4時間で登れるOO小屋からOO山頂を6時間と設定しました。
 OO小屋からOO山頂までは、私の体力で平均3時間から3時間半で登るところですが、6時間で登るとなると先頭はほとんど、止まってしまうような歩き方になります。

次に、無線の問題ですが、私は昨年の反省からアマチュア無線4級の資格を冬の間に勉強し、資格を取っていました。また、ハンディートランシーバを入手し、交信の練習をしていました。(例のCQ、CQというやつです。)

 最後の体力の問題については、途中休息を十分取ることで解決しようということで今回の方針が決まり、実行に移しました。
 以下項目別に私の気づいたことを記します。

ペース配分について
 今回一番勉強になったのは、OO氏のペース配分でした、止まってしまうほど遅く歩くので、時間通りに着かなかったらと心配しましたが、ほぼ予定とおり山頂につきました。私も1回先頭をやりましたが、やはり速すぎるようです。これは特に訓練しないとできないかもしれません。
 また、最後尾との連絡が密でないとならないので無線は必需品となります。

ルートについて
 朝7時バスで東京を発してOO小屋に午前10時半到着、早めの昼食を取り、11時登山を開始して出発して、OO山山小屋閣到着を午後5時予定。6時夕食、消灯9時。

次の日は、朝5時起床、5時半朝食、6時半出発11時OO沢到着。バスで温泉に行き、昼食

そして、OOインターより東京へ。

OOツーリストの広告では、初級コースというカテゴリーに入っており、ハイキング初級と登山初級を間違えて応募したようなお客さんがいました。
 OO山は2000m級の山なので、一応登山とハイキングを分けた宣伝と応募の際の説明が必要と思いました。
 脱落者の中に、このような思い違いで申し込んだような人がいました。

標識について
 OO県側は何合目と表示の下に標高が表示してあり、標識がわかりやすいという印象であしたが、△△側は場所の名称しか表示していなくて、全体に不親切という印象でした。

水の確保
 客にとっては、歩くペースと水の補給のペースが合わず、一気に飲んでしまい足りなくなる人がいます。
 雨天時にレインウェアを着たまま登山すると蒸れて汗をかくので、脱水症状が起きた落伍者も見られました。
 全体的に夏に登山をするのに、水筒が小さいと印象を受けました。平地を歩く感覚で考えているようです。

また、山小屋では水は自前であることが伝わっていなくて、予備の水筒を持っていない客がほとんどでした。
 洗面用の水と、次日の下山用の水が必要でなので、OO清水で十分な補給が必要です。

  特に初心者は多く水分を取る傾向が見られるので、予備に1リットル位の水筒が必要と考えます。
 また、事前に説明が必要だと思います。

救急法の必要性について
 足が攣る客が必ず一人二人いるので、足が攣ったときのマッサージの習得は必須です。私は武術の習得に付随した指圧、按摩、整体の技術があったので応用がききました。
 赤十字の講習会などを受ける必要があると思います。

また、マメを作る人も必ずいますので、私の場合はガムテープを使用して対処していますが、お客さんから、「これなら何とか歩ける」と好評です。
 前年、O村の人たちも「それはいいやりかただ」と誉めてもらいました。

落伍者対策

水分の補給について
脱水症状1件あり、夏雨具をつけて長時間歩行には気をつける必要があります。

息が上がる対策について
特に、運動不足の人で、最後の急な登りで息が上がってしまう人がいます。中には、気を失いそうになる人もいますので、転落しないように見ている必要がある客もいました。
 スポーツ用酸素吸入器があれば、実際にどれほど効くかは別にして、気分的にも良いと思います。

足が攣ったとき
マッサージ技術の習得。休ませる。

落伍者の対処
グループの先頭の方を歩かせるようにすること。
 グループの先頭では、先頭のガイドがペースメーカーとなっていて、実際のスピードは、グループ中一番遅いので初心者、及び疲れた人は先頭のすぐ後ろを歩かせるようにすると、パーティの前後差を縮めることができます。

脱落者が最後尾になった時は、ガイドが客を置いて先に行ないようにしなければなりません。

 ガイドが客を置き去りにする事故が報道されたりしたが、OOOOツーリストのお客さんから聞いたことですが、このツアーのガイドは最後まで面倒を見てくれると評価されているようです。

落伍者は、必ず男性なのが印象的でした。女性の方がほんとに強いのかも。

救助要請、無線資格
 怪我などで、現場の人力ではどうしようもないときは、無線や携帯電話で救助を要請することがあるかもしれませんので、準備をしておかなければなりません。

無線は、アマチュア無線4級の免許が最低限必要です。無線機は、ハンディタイプで144MHz帯、430MHz帯をカバーし、出力は5Wがあるのが良いと思います。
 私の使用している機種は、八重洲無線のVX−5という機種で、ラジオとテレビも受信できます。
 私の交信記録では、OO山頂から神奈川県横浜市、新潟県佐渡ヶ島まで届きました。必要な呼び出しコール先は、あらかじめ何かに記録しておくと良いと思います。

携帯電話は、以下の電話番号を登録し携行すること。△△県側では、OOあたりまではつながります。

緊急電話は、OOOスキー場の第Oリフトの終点にあります。(ダイヤルキー有り)

アマチュア無線や携帯電話でヘリコプターを要請した場合、ヘリと地上では航空無線でないと交信できませんので、航空無線資格(5日間位の講習が必要)があるとよいと思います。

山岳保険
 ほぼ全員が山岳保険に入っていないで来ます。
 旅行社の保険は、行き帰りのバスには掛かっていますが、客個人には掛かっていません。
 一応、応募時には、山岳保険を勧めるようですが、義務ではなく、任意ということでほとんどのお客さんは入っていません。
 したがって、怪我をしたときは、客個人が責任を負う状況にあります。
 現実に下山時に足をすべらし、手首を捻挫した客がいたのでそのことが発覚しました。今後は啓蒙活動が必要と思います。

また、ヘリコプター要請でもすれば、1日100万円単位でかかりますので、できれば全員加入しなければ、最終的に責任を負えないと思います。

雨天対策
  6月から7月は梅雨にあたりますので、必ず雨具が必要ですが、中には雨具をもってこない客がいました。
 夏でも雨に打たれて、風に吹かれれば凍死することを知らないのでしょうか。また、傘をもってくる人もいますが、雨は上からだけではないので、ハイキング向きと考えたいと思います。

  個人登山では、雨が降れば「やーめた」ということになることが多いと思いますが、ツアーでは、安全に問題が無い限り登山はされます。今シーズンも雨天での登山が多く、経験を積むには良いチャンスでした。雨天のときは、トレッキングシューズでは防水性に問題があります。

完全に雨と判っている時は、皮製の登山靴が圧倒的に優れています。

装備
 化繊の下着は必需品です。

水筒は、歩きながらでも取り出せるようにする必要があります。
 立ち止まると後続が伸びてしまいます。また、予備1リットルは洗面、予備として必用です。

ウエストベルトは、客には必ず装着するように指導しています。
 山菜などを取ろうとして、下を向いた時、ザックが頭の上に落ちてきて、前のめりに転びます。崖のようなところであれば、転落していまうからです。

花、木、山菜の名称について
  私の最も弱いところであり、勉強しなければいけないと痛感しました。(食べられないのは興味がないものですみません。)知っていないと、お客さんと会話が進まないことがあります。
 図鑑を買ってただいま勉強中です。ハイ。

観天望気について
  テレビの天気図で足りますが、天気図の作成能力は、天気の変化を読む為にも必要と思います。
 また、OOでは南風が吹いた次の日は、雨になる傾向があります。

ビバーク準備
 ツェルト、シュラフカバーは、夏山の日帰りでも、必ず携行するようにしています。

客の評価
 「このツアーのガイドは最後まで面倒をみて、必ず頂上まで上げてくれると聞いています」とお客さんに言われました。

報酬について
 1泊2日のガイドの報酬は4万円でした。
 週2回くらいでしたので、体力的にも問題が無く満足できる数字と思っています。ただ、当初の話では、ガイド2人で20人位という話でしたが、評判が良すぎてだいたい50人を切るくらいでした。
 緊急事態が本当に起こったときには、2人では少ない気がします。

ガイドとしての感想
  報酬をもらってガイドをやってみて思うことは、ツアー会社やお客から見れば、プロのガイドとしてみるので、責任の重さが違います。
 自分が楽しみで登るのと違い、他人を安全に登山させることがいかに大変かを思い知らされました。先輩であるOO氏には、ガイドとしていろいろ教えられ、勉強になりまた。OO氏がいなければ、今回こんなにうまく行かなかったと思います。

添乗員とガイドの役割分担
今後は、添乗員の役割とガイドの役割を明文化して分ける必要があるかもしれません。

山頂展望図
  OO山頂で困ったことは、山頂展望図が頭に入っていなくてお客に教えられなかったことです。幸いこの役割は、OO会長がやったのですが、登山のハイライトであるので、説明できるようにしておくことが必要です。
 私もOO山には、年に何回か登りますが、山頂で晴れたのは1回しかなく登ったからといってこれを覚えられません。
 山頂展望図を観光課の予算で作成する必要があると思います。

山小屋OOOO
 昭和43年建築来約30年が経ち、相当古びてきています。

一番の問題は、トイレが2つしかなく、朝出発までに全員が用を足せないことです。最近の登山は女性が多く、この問題は切実です。
 また、登山道の途中には中々丁度よい場所も少なく困っています。

OO町がOOOから買い取り、町施設として立て直すべきであると思います。トレッキング協会で議会に陳情を出してみてはどうでしょうか。
 隣のO村の施設と差をつけられすぎています。

また、携帯電話のアンテナと太陽電池による、携帯電話及び無線の常時オープンができるようにする必要がある思います。

以上